県立土浦第二高等学校 深谷靖校長
働き方改革についての教職員インタビュー
第11回
県立土浦第二高等学校
深谷 靖 校長
貴校の働き方改革の目的とビジョン、そして具体的な取組を教えてください。
本校が目指すのは、単なる業務削減ではなく、教育の質の向上につながる働き方改革です。ベテラン教員の指導経験と、若手教員が持っているパソコンやタブレット等を使った新しい指導方法や校務の円滑な進め方に関する知識・技術を融合させ、ICTを活用したより質の高い教育を実現しています。具体的には、探究活動においては、ベテラン教員が培った指導ノウハウに、若手教員のICTスキルを組み合わせた分掌を編成しています。これにより、生徒は多様な視点から課題に取り組むことができ、探究活動の質が飛躍的に向上しました。また、今年度の夏の学校説明会では、オーストラリア海外研修に参加した本校生徒と説明会に参加している中学生とその保護者の方をオンラインでつなぐなど、デジタルの力を活用して学校と家庭、そして社会とのつながりを強化しています。
教員の業務効率化のために、どのようなデジタルシステムを導入されていますか。
先生方の業務を効率化し、生徒や保護者との連絡をスムーズにするため、市販の学校支援システムをカスタマイズして活用しています。このシステムは、欠席連絡や学校からの通知、個別面談資料の共有などを一元管理できるのが大きな特徴です。既読確認機能や返信不可の一斉配信機能によって、連絡の行き違いや不要なやり取りが大幅に減りました。これにより、電話や紙でのやり取りが削減され、先生方は生徒と向き合う時間や打合せの時間をより多く確保できています。
男性教員の育児休業取得は、どのように推進されていますか。
男性教員の育児休業取得は、本校の働き方改革において非常に重要な柱です。「取得して当たり前」という文化が浸透しつつあり、管理職が率先して制度説明を行いながら利用を促しています。休業中の業務はチーム全体でサポートする体制を構築しているため、男性教員も安心して長期の育児休業を取得できます。また、子育て中の先生には時差出勤制度の活用を積極的に促すなど、面談をとおして一人ひとりの事情に合わせた多様な働き方を可能にしています。
働きやすい職場環境づくりのために、特に意識されていることはありますか。
業務の効率化と合わせて、一人ひとりが使命感を持って安心して働ける環境を築くことが最も重要だと考えています。その鍵は、管理職からの「声かけ」です。日頃の対話を通じて、個々の先生の仕事量や進捗、体調などを把握するよう努めています。新しい制度を導入する際も、校長自らがそのメリットを丁寧に説明することで、制度が教員全体に浸透していくと考えています。困っている先生がいれば、生徒がSOSを出すのと同じように、一人で抱え込まずに相談できる環境を作ることを常に心がけています。
今後の展望についてお聞かせください。
今後も、「生徒とのコミュニケーション」という最も重要な活動に、先生方がさらに集中できる環境を整えていきたいです。具体的には、先生方が「12時間の勤務間インターバル」を意識して休息時間を確保できるよう、より一層その取組を浸透させていきます。また、生成AIを校務や探究活動に活用することで、業務を効率化しつつ、教育活動のさらなる充実を図ります。先生方が健康で、生徒とじっくり向き合う時間を持つことが、何よりも重要だと考えています。
教職を志望する学生や若手教員に、この仕事のどのような魅力を伝えたいですか。
若手教員には、この仕事の魅力である「人を育てる」ことで自らも成長できることをぜひ最大限感じてほしいです。学校の先生という仕事は、単に知識を教えるだけでなく、生徒の人生の大きなターニングポイントに立ち会うことができます。卒業した後も、生徒たちは「あの先生のおかげで今がある」と、人生の節目で学校や先生のことを思い出すことがあります。これは、他の仕事ではなかなか味わえない、特別な喜びです。教師という仕事は、生徒の成長を間近で見守り、その変化に関われる素晴らしい職業です。日々の大変さもありますが、その先にあるやりがいを忘れずに、誇りを持って仕事に取り組んでほしいと思います。