水戸市立三の丸小学校 鈴木宏一校長

働き方改革についての教職員インタビュー
第12回

水戸市立三の丸小学校
鈴木 宏一 校長

鈴木宏一校長

働き方改革を進める上で、特に重視しているのはどのようなことでしょうか。

職場の雰囲気づくりが最も重要だと考えています。中教審答申「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について」(令和6年8月27日)のサブタイトルの中に「学びの専門職としての『働きやすさ』と『働きがい』の両立に向けて」とあります。これらを基に、どのように職場環境をつくっていくか、管理職のマネジメントが重要になると思います。特に、校長が異動しても教職員が不安にならない体制を整えることが大切です。学校全体で継続的に取り組んできた働き方改革について、在任中に次の管理職にきちんと引き継ぐなど、持続可能な体制を整える必要があります。

働きやすい環境作りのためには、具体的に何が必要でしょうか。

校長からの積極的な対話が重要だと考えています。教職員一人一人がどのような家族状況なのか、どこから通勤しているのか、以前はどの学校で勤務していたのかといったことを知ろうとする姿勢です。相手に自分のことを知ってもらえているというのは、安心感や信頼関係につながる一つの要素だと思います。このような姿勢で普段からコミュニケーションを密にとることで、年休を取得する職員が自分から理由を言ってくれるようになったりします。また、休暇の取得については、「ほかの先生に迷惑がかかるのでは・・・」と心配にならなくてもいいように、「お互い様!」の意識をもち、組織全体でカバーすることが大切です。そうすれば、先生たちは安心して働けるようになると思います。

職場の雰囲気や、個人の働き方についてはいかがですか。

教職員一人一人が、自分のペースで仕事を進められるようにすることが大切です。管理職が中心となって、「誰かが残っていると帰りづらい」雰囲気をなくしていくことが、働きやすさにつながると考えます。

「働きがい」につながる人材育成の面では、どのような姿勢が求められますか。

校長は、教職員の人材育成にどう向き合うかを明確に示すべきです。コロナ禍以降、参集型の研修が減り、オンライン化が進みましたが、教職員としての力を高めていく上で、やはり人と人とのつながりは不可欠となります。そこで重要となってくるのが、先生方と日頃からコミュニケーションをとりながら、「今、この年齢(経験年数)の時に何をがんばりたいか」を明確にさせることです。例えば、「今年度は○○科の授業デザインの工夫について挑戦してみよう」「学級経営の力を高めよう」など。そして、その目標を達成するために何が必要なのかを、対話を通じて一緒に考えていく。そうすることで、「この研修を受けてみよう」「こういう学習活動を取り入れてみよう」という意欲が湧いてきます。さらに、目標が明確になると、先生たちに自信がつき、「○○がないからできない」ではなく、「これがやりたいから、これを購入してください」「これがあればできる」というプラスの発想に変わっていきます。目標に向かって夢中で取り組んだ経験とその時の前向きな気持ちが、さらなる「働きがい」につながると思います。

今後、働き方改革をさらに進めていく上で大切なことは何ですか。

これからの学校は、社会・地域に開かれた学校であるべきです。現在、PTAや地域の方々が、プールボランティアや歩く会での見守り、学校花壇の整備、朝の立哨などで、「子どもたちのために」という目標を共有しながら協力してくださっています。一方で、働き方改革という言葉によって、学校と地域の距離が離れてしまうことにならないか、懸念しています。我々がこの学校を去っても、学校は地域に残ります。教職員一人一人が「地域の方々が自分たちの町の学校を守ってくれている」という意識をもつことが大切です。今後も、「働きやすさ」と「働きがい」というキーワードを基に、人と人との関わり・つながりを大切にした、持続可能な働き方改革を推進してまいります。