令和2年2月 教育長定例記者会見

教育委員会では、令和2年2月21日(金)、教育長定例記者会見を実施しました。
内容は下記のとおりです。

会見要旨

令和2年度新規・主要事業について

来年度の予算の主なものについて、今日はご説明をさせていただきます。まず1ページです。県立学校先端技術活用推進事業でございます。まず現況・課題というところでございますけれども、現在、Society5.0という言葉を耳にすることが多くなりましたけども、これからの社会に生きる子供たちにとって、ICTを基盤とした先端技術等を活用した教育が求められております。
こういう時代背景のもとで、子供たちが1人1台の端末を活用して、個別最適化された学びとか、遠隔授業、そういうことを充実させるために、ICT環境整備というのは急務であると考えております。
そこで、必要性・ねらいでございますけども、この事業では、中高一貫教育校において、生徒が1人1台の端末を活用できるICT環境整備を行うとともに、遠隔教育とか、個別最適化された学習、クラウドサービスなどの先端技術を活用した教育活動を推進して参ります。
事業内容でございますが、3点ございます。一つ目が端末の整備、二つ目が遠隔教育、クラウドサービス等の学習環境の整備、三つ目が研修やICT支援員等のフォローアップと書かせていただきました。端末の整備についてでございますが、国の補正予算を活用して、整備したいと考えております。そして、遠隔教育、クラウドサービススタート等の学習環境の整備でございますが、遠隔教育を行うための、カメラとかマイク、それから大型テレビ装置モニタなどの機器の整備を行っていきたいと思っていますし、クラウドサービスについては、各自の学び、生徒一人一人の学びを記録するもの、あるいは、個別に最適化された学習を行うためのドリルアプリ、あるいは、複数の生徒同士で共同的に学ぶためのシステムを、導入したいと考えております。
ここで個別最適化という言葉はなかなか耳に馴染まないかもしれませんが、従来であれば、例えば、テストの問題はみんな同じテスト問題をやって、間違ったときに、次に先生が出す問題っていうのは、私たちは,みんな同じ問題を出してやってご覧という形で、やってきたのが今までの学校でした。
個別最適化後、例えば私がコンピューターを使って問題を解いて間違ったときに、どこでどんな間違いをしたかというのをAIが判断をして、この生徒には次にこの問題を出した方がいい、別の生徒は同じ間違いでも、こっちの問題がいい。そういうことを判断しながら、その生徒に合った問題をどんどん学習していく、そういう各種学習の手法です。
EdTechという言葉で代表されてますが、従来のように、一括して同じ問題を解いていく、するというものではない、そういうものでございます。
今回の記者会見とは直接関係がありませんが、PISA(OECD生徒の学習到達度調査)の問題もCBT(Computer Based Testing)になってきておりますが、PISAの問題も、その生徒がどう答えたかによって、その次に出てくる問題は、それぞれ異なるんだそうです。そういう面で、個別最適化というのは、これからの子供たちが学ぶ上で一つのキーワードになると思っています。また、研修とか、ICT支援員のフォローアップにつきましては、整理した機器を活用するための研修を充実させるとともに、ICT支援員を配置をしまして、教員のICT活用指導力向上のために支援を行っていきたいと考えています。
想定される学習場面については、資料に記載のあるような場面を想定して、ICTの機器を整備していきたい。そんなふうに考えております。今まで教育になかったツールとして、「遠隔」というのが、ここ数年脚光を浴びてきました。本県でも遠隔の実証実験を行っていますけども、これから上手く「遠隔」を使っていくことが、子供たちにとって、質の高い教育をするうえで大事ではないかと考えております。
今後の計画でございますが、年次計画と書いてありますけども、新設の中高一貫校5校については、開設年度の新入生から導入しまして既設の日立、並木、古河については、令和3年度から学年進行で整備を進めたいと考えております。最初の説明は以上でございます。

続いて、2ページをお開きください。別冊横組みの資料も2ページになります。図書館魅力向上推進事業と銘打ったものでございます。まず、現状・課題,そしてねらいというところでございますけども、現在水戸市三の丸の県立図書館は、もともとは茨城県議会の議会棟でございました。議会棟を改修をして使用しておりますが、開館してから19年が経過をしております。年間40万人を超える方にご利用いただいておりますけども、県民の皆様方の活動拠点として、もっともっと利用していただくために、図書館の魅力向上を図ろうという、そういうねらいがございます。
事業の内容でございますけども、この事業は、当初図書館入口から入って左手奥にカフェを整備する予定でございました。図書館の魅力向上を図るためには、イメージを一新できるように、入館した瞬間見える吹き抜けを含めて、改修することとしたわけでございます。今年度は、実施設計などを実施して、次年度、最終改修工事をするため、約6000万円を予算計上するものです。オープンは令和2年の夏を目指しております。
別冊の資料右下に白黒でわかりづらいかもしれませんが、入り口から入ったところの吹き抜けのイメージを載せています。改修の範囲は、図書館1階ロビーの吹き抜けのエリア。そしてギャラリー、飲食コーナーで、カフェスペースやゆっくりと読書ができるようなスペースで、電源を確保してノートパソコンを使えるようなビジネススペースも整備したいと考えております。
カフェスペースはコーヒーと一緒に会話が楽しめるようなエリアに設定しまして、読み聞かせ、あるいはビジネスをちゃんとできるようにすることで、これまで図書館にあまりお越しいただけなかった方々にも、カフェをきっかけにして、お越しいただきたいと考えております。
カフェの運営につきましては、2月6日に公表させていただきましたが、日本レストランランシステム株式会社の、「星乃珈琲」というお店でございますが、そこにお願いをする予定でございます。

続いて3ページです。別冊横組の資料も見ながら説明いたします。小中学校における遠隔教育実証研究事業でございます。現況と課題のところでございますが、先ほど言いましたSociety5.0 を見据えまして、すべての子供たちに、これからの時代に求められる資質能力を育成するために、何が必要かと考えたときに、質の高い教育を実践するための先端技術の活用を推進すること。それから、英語あるいはプログラミングなど、学習内容の高度化に対応するための専門性の高い人材を活用することが重要であると考えております。
そのために、すべての子供たちに対して、質の高い教育を実現して、学力の向上を図り、高度な専門性、優れた指導力を持つ人材を活用した遠隔教育のあり方について研究し、普及を図るのが目的でございます。
遠隔教育の目的もいろいろありますが、私たちとしては、誰1人取り残さずに、すべての子供たちが自分の力を最大限に発揮できる学びを支える有効な手段ととらえております。4事業の内容、遠隔事業の実施(9月~3月)とございますが、(1)に優れた指導力を持つ教員による遠隔授業(エリア型)と書かせていただきました。エリア型とピンポイント型、二つのパターンを現在考えていまして、エリアというのは市町村ですが、エリア内の小学校1校及び中学校1校を配信校としまして、同校種の複数の学校と遠隔システムで結び、優れた指導力を持つ教員による遠隔授業を行うことを想定しております。二つのエリアで、それぞれ教科を選定して実施を予定しております。優れた指導力を持つ教員は、配信校のリモートルームから受信校の子供たちに対して、受信校の教員とチームティーチングによる遠隔授業を行って参ります。状況に応じましては、配信校から、複数の学校への同時配信や受信校同士を遠隔で接続して行う、遠隔合同授業なども予定をしております。
ピンポイント型は、高度の専門性を持つ人材による遠隔授業を想定していまして、一つの学校、または施設を配信校として、学校1校と遠隔システムで接続しまして、高度な専門性を持つ人材による遠隔授業を行う。英語とプログラミングで実証研究を想定しております。受信側の学校の教員が、その教科の免許を持っていない状況でも、遠隔事業授業を行うことができる遠隔教育特例校制度というのがございます。今年度この特例校制度の認定を受けているのは、茨城県と長崎県だけです、そういう制度を活用して、来年度も実施をしていきたい。
また、英語科とプログラミングの具体的な取組について書かせていただきました。英語については、小中学校等10校で実施をし、そして配信校のリモートルームと受信校の教室を遠隔システムで結ぶ。ネイティブ・スピーカーなどは配信校のリモートルームから受信校に対して遠隔授業を行う。
それからプログラミングの場合には、小学校1校中学校2校で実施をして、こちらの二つ目、専門人材、大学教員等が所属する施設のリモートルーム。このリモートルームの例としては大学の研究室、あるいは企業のオフィスなども想定しております。ですから、教える先生が学校に来なくても、自分の研究室から配信をしていただくことも想定をしております。そして専門人材はリモートルームから遠隔授業を行う。この前段といたしまして今年度、例えば茨城高専から、小中学校に遠隔で授業を行っている例もございますし、それから民間の企業から、遠隔授業を行っている例もございます。専門人材に学校に来ていただかなくても、子供たちが質の高い授業を受けられる、そういうメリットはあると考えております。
また、2にあるように授業公開をしていく。そして、3にありますように、この取組については、Web上に公開することも考えております。今年度、行っている例として参考事項に載せさせていただきました。英語とプログラミングにおいて、現在、実証研究を行っております。遠隔授業というのは私たちの世代ではなかったと思います。いわゆる画面を見て、交流っていうのは行っていました。ただ実際授業というのは、先生が子供たちの画像を見ながら、実際にいろいろ評価をしたり、子供たちも質問があればする、双方向で質問をし、答えたりしています。そういうことを想定した事業でございます。

4ページです。いじめ問題対策推進事業でございます。5の参考事項のところに書かせていただきましたが、県内のいじめの認知件数は増加をしております。これは、いじめられた児童生徒の立場に立っていじめを積極的に認知するという教職員の意識の高まりと捉えております。
いじめに対しましては、各学校でいじめを丁寧に認知し、早期発見、早期対応することで、学校という組織で対応し、早期の解消を図ることが必要ですし、大事だと考えています。
また、いじめの重大事態に対しましては、いじめ防止対策推進法に則りまして、適切に対応する必要もございます。
そこで、いじめの未然防止、早期発見、早期対策を徹底するための事業の内容でございますが、三つ書かせていただきました。
まず一つ目。「いじめ・体罰解消サポートセンター」の運営につきましては、「いじめ解消サポート相談員」を各教育事務所内に配置しますとともに、ホームページ上の「いじめなくそう!ネット目安箱」、あるいは電話などによる相談、情報提供への対応を行うものでございます。また、警察OBなどの専門家を「いじめ解消サポーター」として、学校に派遣する支援も行って参ります。
それから二つ目、SNS活用相談事業でございますが、今年度初めて、SNSを使った相談窓口を開設いたしました。今年は年間40日やりましたが、来年度につきましては、100日の開設を予定しております。一年中毎日というのが理想かもしれませんが、子供たちの気持ちが不安定になり、自殺や問題行動等が心配される長期休業明けに合わせて、年間4回、開設する予定でございます。
それから三つ目、スクールロイヤー活用事業でございます。弁護士をスクールロイヤーとして学校に派遣し、いじめ予防のための教職員研修、あるいは、いじめ問題に係る法的な助言等を行うものでございます。
参考事項のところに、表が二つ出ていますが、左側が認知件数、右側が解消率となっておりますが、平成28年にいじめの定義が変わったことからそこは不連続となっております。

それから次は、5ページをお願いします。外国語指導助手招致事業でございます。まず、現況と課題でございますが、これは多くの学校の授業が、英文読解、文法理解が中心であることは、事実でございます。その中で、生徒が英語で実践的なコミュニケーションをとる機会が不足し、ネイティブスピーカーの人数が不足しているという課題がございます。そのため、事業の内容のところに移りますけれども、ALTが現在県内で40人という配置をしておりますが、それを53人に増員をして、そして新たな活用方法を探っていこうということでございます。
40人というと、ALTは全然来ない学校あるのかと思われるかもしれませんが、ALTの方は、常駐する学校もありますし、あるいは派遣を受ける学校もございますので、1週間のうちで全然ALTが来ないという学校は、県立学校の場合はございません。そういう人の方は、経済の学校、移動しながら、事業で当たってると。そういうものでございます。それを53人にふやして、効果的な活用を図るということでございます。活用方法とありますけども、そこにディベートを活用した授業による実践的な英語力の向上、マンツーマン少人数での英会話レッスン、専門性をもつALTによる英語以外の強化・課題研究の授業。④では、クラスの副担任として学校行事等での交流等と書かせていただきました。
どうしてもALTというと授業で、チームティーチングのイメージが非常に強いですけども、ALTの方々が持っている力というのは、それだけではございませんので、その力を十分に発揮してもらうために、様々な活用を考えているというわけでございます。例えば③にありますけども、理科は得意なALTの方には、英語以外でも、理科の授業、主となることは難しいかもしれませんが、担当していただいて、英語で授業してもらうとか、そういうことなんかも想定をしています。
ALTの方々は日本で育った方々ではございませんので、私たちが受けた教育とは違った教育方法を受けてらっしゃる。ですからそういう方々が子供たちに接することで、学校が少しでも変わっていくといいなという事がございます。

続いて6ページをお願いいたします。プログラミング・エキスパート育成事業でございます。現況・課題のところにありますけども、まず、小中高通して、プログラミング教育が必修化されます。そういう中で、平成30年度からプログラムに高い関心をもつ県内の中高生に対しまして、プログラミングの学習機会の提供を目的にこの事業を開始いたしました。
事業内容のところに移りますけれども、そこに【トップ層の育成】と【裾野の拡大】二つ書いてございます。この事業を御説明しますと、どうしても目はトップ層の方に行きがちですけども、私たちは、裾野の拡大というのも大事なことだと思っていまして、別冊の資料でアソシエイトと書いてありますが2000人を対象としまして、裾野を拡大することもやっていくと。別冊資料の2にありますように、基礎的なプログラミングスキルを学習することを想定をしています。それから、トップ層の40人については①から③に記載がありますが、現役プログラマー等による個別指導、そしてエキスパートの育成、フォローアップ研修。そういうことを考えております。高校生40名に対しまして、現役のプログラマーがアプリ製作のサポート、実際に面と向かって指導を受けるというよりも、もうネットを使って、お互い、指導を受け、質問をして、それに対して答えを返していただく。そういうことを中心に子供たちは取り組んでおります。それから、エキスパートの育成と書かせていただきましたけれども、令和元年度2名。そして令和2年度に2名の4名を予定しておりますが、昨年度エキスパートとして育成をされた者が、日本情報オリンピックの本選に2年連続出動するなどの成果も出てきております。それから、その下に、フォローアップ研修とありますけども、プログラムコンテストの応募のためのアプリ等の制作について希望者に対して、フォローアップの研修ということとも考えております。ですから、上も伸ばすし、その裾野の拡大も図っていく。それが、このプログラムエキスパート育成事業の中身でございます。参考事項5のところに、入賞実績を書かせていただきました。

そして、次に7ページです。世界へ羽ばたくトップアスリート育成事業でございます。この事業につきましては、3の必要性・ねらいのところに書いてありますけども、子供たちの、運動能力が高い子を対象にですね、本人の運動能力から、競技適正を見極めるなど、組織的にアスリートの発掘を行っていくことを目的としております。将来は、日本を代表するような選手に育ってくれればいいなという思いはございます。こうしたことが事業内容4(1)から(3)と三本書かせていただきました。別冊横組みの資料の方を見ていただくとわかるんですが、実際にこの事業に取り組んでいただくのは、県、県の体育協会、競技団体が連携しながら、子供たちの力を伸ばしていこうと、そういうものでございます。これもまだまだ実証段階でございますので、バスケットボール、サッカーと書かせていただきましたけども、2競技でまず実証してみて、それを他の種目を広げていきたい。そんなふうに考えております。

IBARAKIドリーム・パス事業について

それから、「IBARAKIドリーム・パス事業」についてです。このドリーム・パス事業については、何回も説明させていただいていますので、その目的等については、ここでは省略をさせていただきますが、今年の1月19日に最終的な実践活動発表「IBARAKIドリーム★パスAWARD」を開催させていただきました。別添の資料左側のところが実際にその大会に出てきた、15チームでございます。このうち6チームが、午後から行われた決勝に参加をいたしました。大会の結果につきましては、3(1)に載せさせていただきましたが、優秀賞、と審査員特別賞ということで、それぞれの企画名、それからどういう方がどういうことやったか、そして、副賞として、それだけのものを、お贈りしたわけでございます。
資料9ページに、上位入賞者のコメントが書いてございますが最優秀賞の柴沼纏さん。並木中等の3年生ですけども、この方は、病気で声を出すことができなくなったおばあさんとのコミュニケーションアプリを開発をして、息を発する回数による方法を最初に考えたんですが問題があったので、まばたきの回数でコミュニケーションを取れないか、ということでアプリを開発したものでございます。将来的には世界中の人に使ってもらって、コミュニケーションに困っている人を何とか手助けしたい。そういうことを、おっしゃっていました。それからその下は第2位の常盤さん。土浦日大中等教育学校の方、この方は、自分の母校が廃校になってしまった。それを、高齢者向けの学校、「楽校」という字を使ってましたけども、それを高齢者向けの学校として開校して、行政機関とか、自治会の会長さん、高校生ボランティアなどの協力を得ながら、実施した。そういう取組を発表してくださいました。それから最後の中村さんは自律型走行ロボットですけども、これはおじいさんおばあさんの荷物の運搬を楽にしてあげたいという思いから、自律型の走行ロボットを開発して、センサーで、追尾する機能を備えたロボット作ったものでございます。今後、さらに改良したいと言ってらっしゃいます。
これらの発表に対しましては、(2)マッチングと書かせていただきました。発表してお終いではなくて、興味を示した企業さんが、各チームにこれからもサポートを続けていこうという、そういうスキームでございます。並木中等教育学校には(株)日立製作所、(株)フォーカスシステムズ、(株)リバネスが、右に書いてあるような支援内容を御提供くださってますし、それから、土浦日大・岩瀬日大の取組には桜川市が支援を申し出ております。石岡市、笠間市も支援を申し出ている。ですから、子供たちが自分で考えたことが、世の中から、要するに大人から評価をされ、それが実現するかどうかは難しいですが、もし企業の方で興味を示してくれば、それが商品化されることもあるかもしれない。そういう取組がドリームパス事業というものでございます。

私からの説明は、以上とさせていただきます。

 

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