令和7年11月 教育長定例記者会見
教育委員会では、令和7年11月26日(水)、教育長定例記者会見を実施しました。内容は以下のとおりです。
会見要旨
11月の定例記者会見の発表項目は5点です。
科学の甲子園キッズについて
(資料「科学の甲子園キッズについて」に基づき説明)
11月13日(木)に本県独自の事業「サイエンスキッズ育成事業」の探究的な活動として「第1回科学の甲子園キッズ」を初めて開催しました。「科学の甲子園」は、科学技術振興機構が全国規模で行っている高校生対象の事業で、同機構が実施する中学生対象の「科学の甲子園ジュニア」を本県独自の小学生版として実施し、小学生が科学の面白さや興味・関心を実感し、力を養っていくための機会を作りました。事業の趣旨としましては、県内の児童が科学をとおして親睦を図り、チームで協力する大切さ、そして、地球環境も含め様々な科学的課題が社会全体に数多く存在しますので、その課題をどう解決するか、探究していくかの面白さ、楽しさを味わっていただくということです。開催場所は茨城県教育研修センターで、概要は資料のとおりです。今年度は「プロペラシューターでターゲットを目指せ!」という実技競技課題で、ゴム動力によってプロペラで動くプロペラシューターを作成し、スタートラインから発射したプロペラシューターをターゲットにより近い位置に到達させることを競うもので結果は、資料のとおり金賞を3校が受賞しました。参加した児童の感想は、「チーム全員で分担して製作することができて、楽しかった。次も参加したい。」、「科学の楽しさや理科の面白さを再確認することができた。」「試行錯誤、これがすごく良かった。」「今まで体験したことがないことができて楽しかった」というようなことです。今回初めて実施しましたから、実施した児童の聞き取りだけではなく状況などを踏まえ、来年度以降の充実に努めて、本県としては県独自の甲子園キッズ、科学の甲子園ジュニア、科学の甲子園ということで小学校・中学校・高校における探究的な学び、理科教育の充実を図っていければというところです。
次世代グローバルリーダー育成事業について
(資料「次世代グローバルリーダー育成事業について」に基づき説明)
平成30年度からスタートし、現在8年目になります。2年ずつの活動になるので、現在7期生と8期生が活動しています。今回NGGL7期生13名が、11月6日(木)から12日(水)にアメリカのイェール大学で開催されたワールド・スカラーズ・カップ(WSC)世界決勝大会に日本代表として参加しました。そこで過去最多の金メダル17個、銀メダル17個を獲得しました。参加人数よりもメダル数が多い理由は、大会の種目数が4種目あり、種目別に成績によってメダルが授与されるので、メダルの数は4種目の延べ数になります。これまでの世界決勝大会への参加人数とメダルの数から考えれば、今回、大きな成果を収めたことになります。WSCは、英語によって総合的な教養を競う国際大会で、ディベート、エッセイ、筆記、教養を問うクイズの4種目からなります。大会には、60の国や地域から5万人以上が参加しているとされています。まず国内大会、次にソウルやロンドンで行われる世界大会で好成績を残すと、イェール大学で行われる世界決勝大会に出場することができます。国内の出場権獲得者の総数は非公表ですが、日本渡航団としての参加者は38名で、うち13名が本県のNGGLの受講生になります。NGGL参加者の在籍校とNGGL以外の日本渡航団の参加者の在籍校は資料のとおりです。今後については、12月7日(日)の定期研修会でディベートなどをやります。12月中旬にWSC世界決勝大会の表敬訪問を予定していますので、後日資料提供をさせていただきます。3月にプレゼンテーション大会を今年度最後に予定しています。
オンライン授業について
(資料「オンライン授業について」に基づき説明)
今回の説明は、市町村の小学校、中学校のオンライン授業になります。英語では、ネイティブの英語スペシャリスト教員が遠隔地の中学校第1・2学年に対しオンラインで授業を実施することで、生徒の英語発信力の向上を図ります。英語のスペシャリスト教員のネイティブの本格的な授業を一斉に配信して聞くことができるということでスタートしたところです。授業計画は、配布資料のとおりです。県内の市町村立中学校においては、事前に周知される番組表をもとに各学校が授業を選択して参加できるようになっています。理科では、専門性が高い教員が遠隔地の小学校第3~6学年に対してオンラインで授業を実施しています。授業計画は、配布資料のとおりです。かなりの人数の子どもたちに対し、同時に同じ授業を配信しているところですが、子どもたちからは「非常に興味が湧いてまた次も受けたい」などの感想も出ています。来年度以降どういう形で進めていくかについては、学校の声をよく聞いた上で、今年度の取組を参考に検討をしていくというようなところでございます。
高等学校における授業改善に向けた取組について
(資料「高等学校における授業改善に向けた取組について」に基づき説明)
背景としては、生徒の学びについては、「令和の日本型学校教育」として「個別最適な学び」と「協働的な学び」を本県としても一体的にどう進めていくかということで、「主体的・対話的で深い学び」の実現、現実的にどう授業を展開するかということで授業改善をこれまで行ってきているところです。教員を取り巻く環境も変わってきている中で、特に子どもたちが主体的に自ら進んで学んでいく、何か課題があれば複数の子どもたちで話し合い、議論をしながら進めていくということは一般社会で求められる力であり、様々な教科の授業で取り組んでいく必要があることから、令和5年度から全県立高等学校等で実施をしてきているところです。自校の教育目標を達成するための授業改善を組織的に実施するために、各学校に授業改善推進チームを令和5年度に設置し、多様な年齢層で様々な教科の先生たちがチームの中に入り、授業をどう改善していくのがいいのか、改善するために何をすればいいか、授業の研修はどうすればいいか、これを各学校が各学校の生徒の状況に応じて、どういうふうにすればいいかというのを考える機会を創出してここまで進めてきたというところです。各学校にはグランドデザインがあるので、その学校の目標としてどんな人材を育成するかというグランドデザインに対して、県教育委員会が支援をするという形をとっております。次に、資料2枚目をご覧ください。佐和高校と伊奈高校の例を出させていただきました。佐和高校は、教員だけの授業改善チームではなく、授業改善の協議に生徒も参加するという形をとり、生徒の視点を共有し、わかりやすい授業や授業の改善点や工夫など、例として、グループワークが授業の中にあると互いに支え合い理解が進んでいくなど生徒の意見を参考に研究協議を実施しているというようなことです。この協議内容は、ドキュメントに入力して共有するだけでなく、相互授業参観後に関しては、参観の感想などをフォームやスプレットシートなどでフィードバックをしているということです。伊奈高校に関しては、教員間の時間と教科を超えた協議ということで、英語・数学・国語という教科の枠にとらわれずに、学年の2クラスの担任副担任のチーム編成で改善チームを行っています。授業を撮影した内容をドライブに保存して、都合の良いタイミングで視聴し、オンライン上または対面で研究協議を実施し、「主体的、対話的で深い学び」の実現に向けて、教科を超えた参観、省察が可能であるということになります。成果と今後の展望ですが、ICTやAIを導入している学校もありますけども、その学校の一番重要な朝から夕方までの1コマ1コマの授業に対して、先生と生徒が一緒になって社会に出ていくための力をどうつけるかということで改善し、子どもたちのキャリア教育に繋がっていくように今後も毎年毎年、先生方を中心に生徒の意見なども取り入れながら授業改善に取り組んでいきます。
農業関係高校におけるバーチャル会社経営について
(資料「農業関係高校におけるバーチャル会社経営について」に基づき説明)
令和5年度から「付加価値をつける農業」にチャレンジするということで、これまで試行錯誤しながらどういう形でバーチャル会社経営を行うのがいいのか、県の高校教育課と学校の方で意見交換などもしながら進めてきました。この取組の全体の流れとしては、生徒たちが架空の会社を設立し、4月から1月までの計画を立て、計画に沿い、作付け・管理、収穫・販売・出荷、収支計算、発表を行い、課題があれば次の年にその課題の解決に向かっていくものになります。生徒がグループを組み、実際の会社経営に近い形で探究に取り組む、今年度はそれに加え、栽培技術の基礎・基本の定着にも取り組み、安全な農作物を作り、どのように付加価値をつけていくかという非常に重要な課題に対して高校生が取り組んでいくという内容でございます。中間報告の中から水戸農業高校の取組の例を紹介します。これは水産高校の魚加工実習の過程で出た魚の残渣をもらったことから、魚カスを肥料化して、農業に有効利用できるかどうか調査する取組です。土の成分は、緑肥や鶏糞や牛糞をまぜるなど様々な手法がありますが、魚カスの肥料で大豆を育てることに関して通常の市販の化成肥料と比較して、植物の生育がどうなるかという比較対象を研究しながら、実際に栽培した大豆を水戸農業高校の食品化学科で味噌を作るという形で無駄をなくす循環型になるようにしています。こういうものを経験すると、大学に進学し、例えば環境系で土や水の成分を学ぶときに比較対照実験によってその中にどんな成分が入っているか、植物が生育するときには窒素とリンとカリウムが非常に重要なので、そういった成分がどれぐらいの割合で入っていると大豆の成長はどうなるかなど、実は環境関係の問題にも対応できるようになるのと、そういった研究をすることを目指す高校生も出てくる可能性があるので、農作物を作るプラスそういった研究をやっていこうというような芽も出てくる可能性があるということで、高校生がある程度いろんなことを考えながら取り組んでいける事業の1つで、すぐに結果が出るというよりは、長い期間かけてチャレンジしていければという内容です。資料の最後のページには、各高校で取り組んでいる内容がありますので、ご確認ください。
本日の発表事項に関する説明は以上になります。
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