茨城県文化財保存活用大綱

豊かで魅力あふれる“茨城”へ 〜みんなで地域の文化財を守り、活かし、伝えよう〜

社会状況が急激に変化し、過疎化・少子高齢化進行により、県内各地域の衰退が懸念されています。文化財によっては、文化財継承の担い手の不在による散逸・消滅の可能性すらあります。
このような状況の中、文化財継承の担い手を確保し、文化財を地域づくりに活かしながら、社会全体で支えていく体制づくりや、これまで価値付けが明確でなかった未指定の文化財も対象に含めた取組が必要となっています。
この大綱は、こうした取組が円滑に進むよう、市町村や所有者等が市町村の文化財保存活用地域計画や個別文化財の保存活用計画を作成・推進する際の基本的な考え方や留意事項などについて、茨城県の指針を示すものとして策定しました。
なお、この大綱は、文化財保護法第183条の2第1項の規定に基づき策定したものであるとともに、本県の総合計画「茨城県総合計画」及び本県の教育振興基本計画「いばらき教育プラン」の文化財分野に係る個別指針として位置づけるものです。

策定の背景と目的

  • 社会状況は急激に変化し、過疎化・少子高齢化の進行により、文化財継承の担い手の不在による散逸・消滅の危機
  • 文化財継承の担い手を確保し、社会全体で支えていく体制づくりや取組が円滑に進むよう、本県文化財の保存・活用の基本的な考え方や方針を示す。

大綱の位置付け

  • 本県の総合計画である「茨城県総合計画」や教育振興基本計画である「いばらき教育プラン」の文化財分野に係る個別指針の位置付け。
  • 文化財保護法第183条の2第1項に基づき、本県の文化財の保存・活用に関する総合的な施策の大綱を策定

本県文化財の概要

本県の文化財

自然環境と文化財
県北袋田の滝及び生瀬滝(国名勝)、花園渓谷「七ツ滝」(県名勝)など
県央片庭ヒメハルゼミ発生地(国天然)、平磯白亜紀層(県天然)など
県東ハマナス自生南限地帯(国天然)、鹿島神宮樹叢(県天然)など
県南霞ケ浦、筑波山など
県西桜川(国名勝)、桜川のサクラ(国天然)など
社会環境と文化財
産業結城紬〈平織〉(国無形)、5馬力誘導発電機(県歴史資料)など
農水霞ケ浦の帆引網漁の技術(国選択)、那須楮、漆、トロロアオイなど
交通依上道、陸前浜街道、棚倉道、南郷道、那須道、宇都宮道など
歴史文化と文化財
古代陸平貝塚、泉坂下遺跡、舟塚山古墳(国史跡)、直刀「黒漆平文大刀拵」(国宝)など
中世小田城(国史跡)、税所文書(県古文書)など
近世佐竹寺本堂(国建造物)、旧弘道館(国特別史跡)など
近代旧土浦中学校本館・旧太田中学校講堂(国建造物)など

本県の文化財の現状(国・県・市町村指定文化財件数)

令和2年3月31日現在、3,283件の文化財が指定されています。

有形文化財
国指定 77
県指定 531
市町村指定 1,579
合計 2,187
無形文化財
国指定 4
県指定 4
市町村指定 13
合計 21
民俗文化財
国指定 4
県指定 38
市町村指定 206
合計 248
記念物
国指定 45
県指定 120
市町村指定 662
合計 827

文化財の保存・活用に関する基本的な方針

文化財の保存・活用に関する現状と課題

文化財を保存・活用する目的
  • 県民の文化的向上と我が国文化の進歩に貢献〔県文化財保護条例第1条〕
  • 保存と活用が互いに効果を及ぼし合いながら、次世代への継承につなげる。
文化財の保存・活用の現状と課題
  • 所有者の資金不足や継承者の不在等により、継続的な保存・管理が困難な事例が発生
  • 文化財の修理等の技術を保持する人材の減少
  • 自然災害から文化財を保護する防災対策の徹底
  • 文化財を地域振興や観光振興に活用することへの期待の増加
  • 地域社会が一体となって文化財を保存・活用し、継承していく枠組みの整備

本県が目指すべき将来像・方向性

目指すべき将来像(基本テーマ)

豊かで魅力あふれる“茨城”へ 〜みんなで地域の文化財を守り、活かし、伝えよう〜

基本的な方向性
  • 県民共有の財産である文化財を、社会全体で適切に保存・活用し、次世代へ確実に継承する体制を構築していく。
  • また、文化財の保存・活用に社会全体で取り組むことで、県民が郷土への愛着と誇りを持ち、本県の魅力向上や地域づくりにつなげていく。
  • 本県には、都市的な生活と自然の豊かさを享受できる風土や、古代以来の歴史と文化を反映し継承されている数多くの貴重な文化財が存在する。
  • 県民共有の財産である文化財を、所有者だけでなく、県や市町村、地域住民や関係団体など社会総がかりで関わることで、文化財の確実な継承につなげていく。
  • 文化財を保存・活用し継承することで、県民が郷土への愛着や誇りを持ち、本県の魅力向上や地域づくりを推進していく。

県内文化財の保存・活用の基本方針

本県の目指すべき将来像・方向性に基づき、文化財の保存・活用を計画的・継続的に行うために、3つの基本方針により取り組んでいく。

基本方針1
文化財の適切な保存・活用と次世代への継承
基本方針2
文化財を活かした本県の魅力向上と地域づくりの推進
基本方針3
文化財の保存・活用の推進体制の整備

文化財の保存・活用を図るために講ずる措置

基本方針1:文化財の適切な保存・活用と次世代への継承

文化財の適切な保存
文化財の指定等
  • 市町村等と連携し、指定のみならず未指定の文化財までを含めた保存の状況を確認・把握するとともに、指定や登録等を進めるなど適切な保存体制を整備
文化財の管理・修理等
  • 日頃からの適切な維持管理(早期発見)と周期的・計画的な保存修理
  • 様々な事情により維持管理が難しくなった文化財に管理団体を指定するなど支援体制の検討
建築基準法の適用除外
  • 文化財の現状変更を伴う修理等を行う際に適用除外を検討している場合は、市町村に対し県関係部局と連携しながら必要な指導・助言を実施
文化財の保存に係る事業
  • 県が所有する文化財の管理・修理や、県内全域に及ぶ文化財の調査など、市町村では実施が困難な包括的事業の実施
    三昧塚古墳出土品の保存・修理、「中世城館跡」総合調査や「東関東の盆綱」総合調査等
次世代への継承
教育における文化財の活用
  • 学校教育
    地域の文化財を学校教育の教材として活用することで、次代を担う子どもたちに文化財への関心を高め、次世代への継承を促進
  • 社会教育
    社会教育施設等が文化財を活用した講座や体験学習等を提供することで、幅広い世代の県民の郷土に対する誇りや愛情を醸成し、文化財の担い手の拡大
人材育成
人材育成と資質向上
  • 文化財の保存・活用の在り方を考えるセミナーや市町村職員等の知識や技能の向上を図る研修会の実施など、文化財に関わる人材育成と資質向上を図る機会の充実
専門技能を有する人材との協働
  • 専門性の高い文化財の修理技術者を育成するため、外部の専門的な人材等との連携強化

基本方針2:文化財を活かした本県の魅力向上と地域づくりの推進

文化財を活かした本県の魅力向上
観光資源としての活用
  • 文化財を公開のみならず観光資源として活用することで、文化財の価値の認識が広がり、文化財の保存・活用の相乗効果を創出

活用事例「袋田の滝及び生瀬滝(大子町・国名勝)」
関東北部の八溝山に水源を発し、「四度の滝」の異名をもち、平成27年に国指定名勝に指定された。
近年は、4月から6月にかけて下流の川に千匹の鯉のぼりを泳がせ、また、11月から2月にかけては、滝や川等をライトアップで演出するなど、地元の努力と創意工夫で文化財の新たな魅力が引き出されたこともあり、年間100万人を超える観光客が国内外から訪れている。

映像メディアとしての活用
  • 文化財を映画等のロケ地として活用し、地域振興、文化振興及び観光振興等を図ることで、本県の魅力向上やイメージアップに貢献
博物館等における活用の充実
  • 県が所有する文化財について、県内博物館等の教育機関において積極的に公開し、県民が文化財を見て、触れて、学べる機会の充実
文化財を活かした地域づくりの推進
コミュニティにおける文化財の活用
  • 地域住民が文化財継承の担い手として様々な活動に主体的に参画することで、地域の文化財の価値を再認識し、住民同士の交流や絆を深め、コニュニティーを維持発展
市町村の相互交流を通した文化財の活用
  • 市町村の枠にとらわれずに、複数の文化財を広域的に活用できるよう、市町村の相互交流を深め、地域の活性化を推進
情報発信と普及啓発の強化
情報発信
  • インターネットの普及に伴い、ホームページやSNS等での画像・動画の発信に加え、ホームページの多言語化等についても研究を進めるなど効果的な情報発信を実施
普及啓発
  • 「文化財保護強調週間」や「文化財防火デー」等を通した文化財保護思想の普及やユニークベニュー(特別な会場)など新たな活用方策の実施

基本方針3:文化財の保存・活用の推進体制の整備

市町村への支援
市町村との連携
  • 広域にわたり分布する文化財等は、県が調査等を担うことで、複数の市町村間の保存・活用を調整
  • 専門職員が未配置の市町村に対する、配置に向けた助言や働きかけの実施
市町村の文化財保存活用地域計画作成に係る支援
  • 全ての市町村が地域計画の作成に向けて取り組めるよう、様々な機会を捉えた働きかけ。
  • 作成に向けた相談、協議会等への参加・助言、文化庁との連絡調整等を実施
助成制度
  • 国に対して財政的支援の拡充の要望とともに、県の補助事業の拡充も検討
  • 民間団体等の文化財に対する補助制度等について、情報収集及び情報提供を実施
防災・防犯及び災害発生時の対応
防災等の取組
  • 文化財防火運動の推進、防火設備の整備や訓練の充実、防火対策プランの作成など、市町村や消防機関、所有者等と連携による、防火対策の強化
  • 防犯対策については、巡視の徹底や防犯設備の点検・確認の他、文化財の写真や特徴・寸法等の記録作成などの、市町村や所轄警察署等と連携した所有者等への指導・助言
防災体制と防災発生時への対応
  • 茨城県地域防災計画に基づく、文化財の防災対策等の促進
  • 大学、博物館、NPO、行政等の関係団体が連携した文化財の救出体制の整備
文化財の保存・活用の推進体制
県及び関係機関等
  • 県(教育庁及び関係知事部局)、付属機関(県文化財保護審議会等)、民間団体等(県文化財保護協会等)が、それぞれ文化財の保存・活用に関係する業務を所管
関係機関等との連携及び体制づくり
  • 国の関係省庁や知事部局等との情報共有や連携を密にし、文化財に係る施策や事業等を推進
  • 県や市町村は、民間企業、NPO、大学、研究機関等とも連携・協働し、文化財の所有者等が行う保存・活用を支援
  • 文化財の修理・修復や活用の検討、文化財担当職員等の資質向上や専門的知識・技術の会得のため、大学等の専門家へ協力要請

お問い合わせ先

茨城県教育庁 総務企画部 文化課 有形・無形文化財担当

〒310-8588 茨城県水戸市笠原町978番6
電話:029-301-5449
FAX:029-301-5469
メールアドレス:bunka@pref.ibaraki.lg.jp