探究的な学びの充実

いばらき探究通信

茨城県教育委員会では、各県立学校において、各教科における探究を軸とした学びのスタイルの構築を進めています。探究活動の様子や、実践に取り組んでいる教員・生徒の声を紹介するため「いばらき探究通信」を発行しています。

県立石岡第二高等学校「総合的な探究の時間の取組」

今回のいばらき探究通信では、県立石岡第二高校について、年間をとおしての探究活動の様子と、先生方と生徒の皆さんへのインタビューを紹介します。

石岡第二高校の総合的な探究の時間の実施体制
  • 普通科、生活デザイン科ともに、各学年1単位ずつ(3年間で3単位)履修
    ※生活デザイン科の令和3年度入学生徒については、総合的な探究の時間の2単位分を課題研究で代替
  • 探究活動の計画・実施において中心的な役割を果たす校務分掌として、「企画開発・ICT教育推進部」を設置
  • 石岡市役所や地域の事業所、大学、NPO法人など、外部と連携しながら活動を実施
総合的な探究の時間の実施内容(令和5年度年間指導計画より)
1学年
  • 探究の計画を確認する
  • 探究の基本的技能の習得・地域理解(地域理解プログラム)
  • 個人課題探究(※探究活動の発表見学あり)
2学年
  • 地域課題の解決方法について、自ら問いを設定し、探究し、発表する
3学年
  • 探究活動で学んだことを自己の将来と結び付けて考える
探究活動に関する主な行事
総合的な探究の時間成果発表会(6月)
  • 3年生が、前年度から取り組んできた探究活動の成果を発表
  • 代表生徒がステージ発表し、Web 投票による評価を実施
  • 各グループによるポスター発表も行い、生徒同士で質疑応答を実施
探究の日(9月)
  • 丸1日かけて探究学習を行う日として設定
  • 石岡市役所や大学等の地域の協力を得て、生徒が地域の人々から学ぶ機会を設けることで、生徒が地域の魅力を発見し、地域の課題 について考える契機とする
探究に係るコンテスト等への応募
茨城の魅力を探究し発信するコンテスト(いばたん)2022
  • 石岡市の柿岡地区にかつて存在した柿岡城を紹介する動画を制作 し、全417作品の中から特別賞を受賞
IBARAKI ドリーム・パス事業(令和5年度)
  • 「みんなが知っている味噌をもっと身近にプロジェクト 〜石岡二高から味噌のおいしさを広めちゃおう!」をテーマに、16 の戦略チーム の一つとして選出され、若者を対象に地元の特産品である味噌の 需要拡大とイメージ向上を図るため活動
令和5年6月6日に校内で開催された成果発表会の様子
「石岡市の外国籍児童・生徒を救いたい」成果発表会のステージ発表
電子黒板を活用した個別発表の様子
「外国人を守るハザードマップ」成果発表会のポスターセッション

先生方と生徒の皆さんへのインタビュー

学校での探究活動について、高校教育課の担当者が石岡第二高校の先生方と生徒の皆さんにインタビューをしましたので、ご紹介します。

先生方へのインタビュー
Q 先生方から見てどのような成果があったと感じられていますか。
A
  • 生徒にとっては、活動のためにアポイントを取る初めての機会となり、地域の方々と関わるという点で良い経験になったと思います。
  • 教員にとっても、生徒たちと一緒に楽しめたと感じています。「教える」というよりも一緒に学んでいく機会になりました。
Q 一方で、課題と感じておられることはどのようなことですか。
A
  • 探究活動における教科との連携に課題を感じています。
  • 探究の時間を大切にする生徒とそうでない生徒がいましたし、ゴールが明確でない生徒もいましたので、反省点であると認識しています。
  • スライドづくりはよくできていると感じましたが、効果的な見せ方という点についてはまだ改善の余地があります。
Q 今後の取組については、どのようにお考えですか。
A
  • 地域の課題解決の成果として発表の機会を設定していますが、うまくいったことだけでなく、失敗したことも含めて、どのような軌跡をたどってきたかが大切ですので、先輩の取組を後輩が引き継いで、活動がより発展できればと考えています。
生徒へのインタビュー
Q 探究活動を行うと聞いて、どう思いましたか。
A
  • 初めて聞いたときは「何をするの?」と思いました。正直なところ、中学校でどのような活動を行ってきたのかもあまり思い出せず、小中学校の自由研究程度にしか考えていませんでした。
  • 担任の先生から紹介動画(探究系コンテストの優勝者スピーチ)を見せてもらったとき、「え、これをやるの?」と驚きました。
Q 共通教科の学習との違いは何ですか。
A
  • 答えがあるものではなく、自分の発想が大事だと思いました。今までの小中学校での生活を振り返ると、外国籍ということもあり、学校での面談や市役所での手続きなどで、難しい日本語で苦労することがありました。こうした実体験から「何とかしたい」と思ったことを、解決に向けて取り組んでみて、とても楽しかったです。
  • 一方で、探究活動を通じて、教科の学習も実は大切だと気づかされました。具体的には、アンケートを実施して分析するには数学、多くの方とのやり取りをする上で適切な表現でコミュニケーションを図るために国語、そしてグローバルなコミュニケーションを視野に入れると英語というように、教科の学習が役に立つと感じました。
Q 活動を振り返って、大変だったことはありますか。
A
  • テーマ探しを一からすると苦労すると思い、まずは身近なものから考えてみようと思いました。
  • 活動の中で、日本語教室の生徒とコミュニケーションをとろうとした際、話が通じるとき・通じないときがあって大変でした。わかる単語に言い換えたり、単語で話したりして伝えられるように努めました。
  • 校外の方にアンケートをお願いした際、多くの回答をいただけると思っていたところ、あまり回答をいただけず、どのように課題解決に取り組んでいくか、活動をどのようにまとめていくかに苦労しました。
  • 内容については苦労しなかったのですが、いざスライドにまとめようとすると、何をどのようにまとめるべきか、とても苦労しました。
Q 活動をとおして意識の変化はありましたか。
A
  • 現在、ボランティア団体に入っていて、活動で作成した「やさしい日本語」の使い方をもっと広めたいです。そのために、高校を卒業してもサポート活動を続けていきたいと考えるようになりました。また、言葉を伝える難しさを感じ、相手に対してしっかり向き合おうと思いました。
  • あらゆることを学ばなければならないという気持ちになり、考え方や言葉遣いなどに気をつけるようになりました。コミュニケーション力をつけて、いろいろな人と話せるようにしたいですし、自分のやりたい学びにも繋げたいと考えています。

「探究を軸とした学び」展開事例集

茨城県教育委員会では、各県立学校において、各教科における探究を軸とした学びのスタイルの構築を進めるため、教職員向けに『「探究を軸とした学び」展開事例集』を作成しました。

探究的な学びの充実(教職員向け)

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