茨城県教育委員会 > お知らせ > 令和8年度茨城県いじめ問題対策連絡協議会

お知らせ

令和8年度茨城県いじめ問題対策連絡協議会

令和8年10月1日 お知らせ

本協議会は「茨城県いじめ防止基本方針」に基づき、いじめの防止等に関係する機関及び団体が情報共有及び連携を図ることを目的として設置されました。平成26年7月に第1回が開催されて以来、今回で13回目の開催となりました。

令和8年度茨城県いじめ問題対策連絡協議会
日時令和8年7月1日(水)10:00~12:00
場所茨城県庁
出席者学校関係、警察、法務、福祉の関係機関及び団体等より32名
協議会次第

クリックすると各発表等の詳細へジャンプします。

会長挨拶

令和2年に茨城県いじめの根絶を目指す条例が施行され、社会総がかりでいじめに向き合う重要性が改めて確認された。
いじめの現状として、令和6年度問題行動等調査の結果によるといじめの認知件数は過去最多となっている。文部科学省としては、認知件数が多いこと自体は教職員の目が行き届いている証と捉え肯定的に評価しており、特にいじめを積極的に認知し初期対応を徹底して、重大事態の発生を防ぐよう取り組んでいる。
しかし、子どもたちを取り巻く環境は変化し、いじめの状態はより複雑化している。同調査でもSNS等のインターネット上でのいじめが過去最高となっており、動画拡散などが問題となっている。これらのいじめは学校だけでは対応が困難な事例もあり、社会総がかりでの対応が強く求められている。
本年度のテーマは「いじめの重大事態を防ぐ社会総がかりの取組」である。茨城県弁護士会および茨城県公認心理師協会の取組発表をはじめ、各団体の取り組みを共有したい。いじめ問題は深刻化させないための初期対応が非常に大事であり、未然防止教育など様々な取り組みが考えられる。多様な意見をいただき、県としてもすべての子どもたちが安全、安心な学校生活を送れるよう全力で取り組んでいきたい。

取組発表:茨城県弁護士会

スクールロイヤー制度の開始当初から茨城県のスクールロイヤーを務め、いじめ予防授業や教員研修、個別法務相談、保護者対象の講演等を行っている。児相嘱託や家裁調停委員、保護者の経験も有する。これらの経験をもとに以下のように考察を述べる。
いじめ防止対策推進法におけるいじめの定義は非常に広く、認知件数をゼロにすることは不可能であり、ゼロであればむしろおかしい。他方で、いじめによる自死や長期不登校などの「重大事態」はゼロを目指すことができる。重大事態になると法律上の調査や報告書作成といった重たい義務が発生する。一瞬にして起きる重大事態は稀であり、過去の調査報告書や相談、判決を見る限り9割以上は兆候が積み重なった結果である。そのため、そのプロセスの間に学校が何を見極め、どう対応したかが問われる。法律に定められた事実確認や指導、支援の徹底は教員にとって並大抵ではなく、相談に訪れる疲弊した教員に対し、仕事を無駄に増やさず効果を上げる効率的なアドバイスを意識している。1クラスを20人程度にすれば目が行き届くようになるが国としての課題であり容易ではなく、教員不足や首都圏への人材流出といった構造的問題もある。
いじめ発生の理由には二つあると考える。一つは「無知」が原因の場合であり、教育でカバーできる領域である。遊びの延長と考えている子どもが多く、何がいじめであり、なぜダメなのかを真摯に伝えて気づきを促している。もう一つは「教育でカバーできない場合」である。家庭での虐待等による猛烈なストレスを発散させるためにいじめを行ったり、発達障害などの特性によりやめられなかったりするケースである。この場合は「自分がされたらどう思うか」と説いても容易には通用しないため、医療、福祉、地域、警察などの外部資源と学校が速やかに的確に連携しなければ教員がパンクしてしまう。
インターネット上のいじめは増加の一途をたどり重大事態発生の大きな原因となっている。大人がネット空間をコントロールできていない中、子どもができるわけがない。ネットをなくすことはできないため、家庭教育やルールの必要性を発信している。現在の学校における情報モラル教育がどれほどシステマティックに練られているかは疑問であり、学校単体から授業の依頼が舞い込むのはそのためだと考える。
特に懸念しているのが「フィルターバブル」、すなわち「スマホによる情報貧乏」の状態である。アルゴリズムにより好きな情報ばかりが集まることで、何でも知っていると錯覚する一方、極めて情報が貧困な状態に陥っていることに気づかない。この状態は大人も子どもも多く、闇バイトへの参加や様々な犯罪の被害者・加害者になる入り口ともなっている。県内でも10代の子どもが闇バイトに参加してしまったケースがあり、他人事ではない。
学力志向が強まっているが、土台は健康な心と体であり、自分が大事な存在であるという自己肯定感である。これが実感できていない子どもがいじめに走りやすく、または被害者になりやすい。また、コミュニケーション能力が奪われ、「死ね」「消えろ」といった一言で感情を処理しようとする子どもが多すぎる。「死ね」と言った相手に本当に死んでほしいのかを問いかけると、子どもはそんなわけはないと言い、何がムカついて相手にどうしてほしいのかを一生懸命言葉に紡ごうとし始める。地味ではあるが、こうした底上げによっていじめの発生件数を減少させ、傷つけてしまってもその場で「ごめん」と言える関係性を作ることが、重大事態の一歩手前での予防につながる。

取組発表:茨城県公認心理師協会

会員の多くが県内のスクールカウンセラー(SC)として勤務している。県内公立学校へのSC配置は進むが勤務時間の少なさや特別支援学校への未配置などが課題である。SCはいじめ被害者のケアのほか、予防や早期対応、

SOSを出しやすくするアンケートの工夫などに取り組んでいる。一方でいじめ加害者の支援も行っており、被害者と加害者の両方を同じSCが担当することに難しさもある。以下、当協会の総意ではないが、長年にわたるSCおよび第三者委員の経験から、ひとりの心理師として意見を述べる。まず重要な課題として以下の3点を挙げる。

SCとしてのいじめ対応の難しさ

組織対応と被害者との信頼関係構築の両立、守秘義務の兼ね合いが繊細である。過去の重大事態報告書で、先生に内緒で話を聞くと言いながら学校と口頭共有したことが不適切とされたこともある。2022年に「スクールカウンセラーと学校の守秘義務と情報共有についてのガイドライン」を作成し、守秘義務については細心の注意を払っているが、多様な関係者から話を聴き、チーム学校の一員として機能することに難しさがある。

第三者委員としての課題

重大事態発生時の第三者委員会にはほとんどの場合、心理師も入る。事実認定のための証拠集め、調査報告書の執筆はメンタルケアの専門性とは異なる部分も多い。ヒアリングひとつ取っても、カウンセリングとは異なる聴き方をしないと、子どもの記憶を混乱させる危うさもある。専門的な研修を受ける必要があり委員業務は難しい。対応できる会員の数は限られている。被害者保護を前提とした制度の中で、加害者の心理的側面への配慮をどこまで盛り込めるか、専門職として悩む場面もある。

第三者委員の待遇問題

負担や責任に比べ待遇が極めて低い。規程の報酬額が低いことに加え、会議手当しか出ず、資料読み込みや報告書作成の経費、旅費が出ない自治体もある。委員は子ども達のために使命感で務めているが、引き受け手が減少しており持続可能性が危機に瀕している。関係者が意見を集約し見直しを訴えるべきである。

以上の課題に対し、第三者委員会の持続可能性を高めるための4つの提案を行う。

  • 各領域が連携した重大事態調査のための多職種合同研修会の開催と無料オンデマンド教材の共有。
  • 精神科医・弁護士・心理師ら5名による固定チームを派遣し、重大事態調査を効率化する。
  • 被害児童生徒本人の意向確認プロセスの欠如、及び事実認定における第三者委員会の独立性・客観性を担保する仕組みの不足について、法の見直しを含めた関係団体による共同提言の実施。
  • 学校はいじめの早期発見に専念し、重大事態に発展する可能性が高い案件については、外部の多職種専門家チームが対応を引き継ぐ「専門家集団によるワンストップサービス」を構築する。学校と外部専門機関の役割分担を明確にすることで、教職員の負担集中を緩和すべきである。また、不登校を防ぐオンライン授業の提供等の工夫により、重大事態をゼロにすることを目指す。

全体協議

学校現場におけるいじめ・SNS問題の現状と課題

県学校長会

目に見えるいじめの認知力は高まっているが、悪口や画像の無断共有・加工など、SNS上の目に見えないいじめへの対応が極めて難しい。小中学校でも家庭ルールを作らせているが、朝までゲームをして遅刻するなど親も悩んでおり、根気強く寄り添うしかない。

県PTA連絡協議会

最近の指導方法の制限(大声を出さない、囲まない等)を子どもが逆手に取り、教員を軽視する傾向がある。SNSはグループでのやりとりが日常化していることを受け、PTAでは専門家による付き合い方のセミナーを増やしている。

私学協会

校長だよりで海外の年齢別SNS禁止法やSNSの中毒性、自殺率増加のデータを示し、家庭での管理と議論を求めている。特にトラブルは中学1・2年生に集中しており、リテラシー未発達な段階でのスマートフォン等の持たせ方に注意が必要である。

水戸地方法務局

小中学校での人権教室やネット人権侵害の予防啓発、相談対応、調査救済を行っている。コラージュ画像の流布などの相談事例もあり、県内330人の人権擁護委員を活かして居場所づくり事業や子ども食堂にも出向いている。困った際は法務局の窓口を活用してほしい。

県高等学校長協会

高校でもネットトラブルはあるが、入学時にスマホの家庭ルールを提出させている。生徒・保護者が求めるのは「認知」ではなく「寄り添い」である。初期対応において職員集団の「だろう」を潰し、確実に情報共有することが重大事態を救う。

私立中学校高等学校保護者会連合会

県内の私立高校では長期休み前にスマホ使用の注意点を示すプリントを配布している。保護者会としては行事への参加や情緒的サポートを通じて会話を増やす活動を行っている。

弁護士会

他人の写真を勝手に載せる肖像権侵害などがダメであることを正しく教える教育が第一。大人のネットモラルも問われる中、夏休みの親子共通の宿題としてルールの提出を義務付けるなど、全県共通の具体的工夫が必要である。

人身安全少年課

警察の立場として児童ポルノ関係の扱いが増加傾向にある。すべてを立件するだけではなく個別のケースに応じたアプローチを考え、学校等との連携を密にしていきたい。

子ども会育成連合会

幼少期からの非認知体験や自己肯定感の育成が重要である。「ハインリッヒの法則(1:29:300)」を子どもに教えながら活動しており、少子高齢化だからこそ地域のコミュニティ作りを推奨している。

まとめ

本日はいじめ問題対策に関して、弁護士会からは弁護士としての法的な視点、公認心理師協会からは、公認心理師・スクールカウンセラーとしての専門的な視点から、今後の学校現場における対応の示唆となる貴重な発表をいただいた。
後半の全体協議においては、SNS上の目に見えない複雑ないじめへの対応を中心に、お集まりいただいた各団体のそれぞれの立場から意見や取り組みが共有された。
最も重要なことは、子どもたちが安全・安心な学校生活を送れるようにすることである。本日出された意見や実態については後日ホームページ上に掲載するが、各委員におかれてもそれぞれの団体に持ち帰り、内容を共有して日頃の活動に活かしていただきたい。今後とも子どもたちの安心安全を最優先に考え、関係機関が一体となって邁進していきたい。

 

お問い合わせ先

茨城県教育庁 学校教育部 生徒支援・いじめ対策推進室

〒310-8588 茨城県水戸市笠原町978番6
電話:029-301-5229(生徒支援担当)
電話:029-301-5262(いじめ対策担当)
FAX:029-301-5269
メールアドレス:bunka@pref.ibaraki.lg.jp