優秀賞 日立市立台原中学校
生徒一人一人の自己管理能力の向上を目指した保健教育の推進
これまでの課題と活動のねらい
課題の把握と設定状況
本校生徒の中には、集団生活に適応することが難しく登校渋りとなったり、登校しても不安を訴えて保健室へ頻繁に来室したりする生徒が少なくない。また、来室はなくても自己管理ができていない状況 の生徒も多くみられる。
そのため、自らの心身の健康状態を正しくとらえ、正しい知識・技能を獲得し、自己管理ができる生徒の育成を図るために本テーマを設定した。
活動のねらい
- 自分の健康状態を正しくとらえる機会を通して、課題解決に向かう体制を整える。
- 外部講師と連携した計画的・系統的な性に関する指導の充実を図る。
- 生徒自身の健康課題に当事者意識をもって取り組むため、生徒保健委員会活動の充実を図る。
計画と実践の状況
計画
- 長期休み明けに実施する保健アンケートの充実
- 健康診断の事後指導(10月、11月)
- 「いのちの教育」(性に関する指導)の拡充(6月、11月、2月予定)
- 生徒保健委員会活動の充実
実践の状況
- 保健アンケートの設問を生活リズムと心身の健康に分けて項立てし、生徒の実態を把握し結果を集約している。【資料1-1】【資料1-2】さらに、生徒が希望する職員と個別面談を行い、状況を詳細に把握できるようにしている。
- 健康手帳を配付する際に、併せて保健だより特別号を配付している。【資料2】
視力検査B以下の未受診者と歯の治療勧告の未受診者を対象に、再検査や個別の保健指導を行っている。【資料3】 - 日立市では第3学年の生徒を対象とした外部講師による「いのちの教育」(性に関する指導)を行っているが、本校は同講師による思春期講座を第1・2学年の発達段階に合わせて実施している。各講座の際には事前・事後アンケートを行い、集計結果を外部講師と共有している。事後指導で保健だよりを配付した。【資料4】
- 毎月、保健委員会の生徒が異学年のグループごとに各自のタブレットで内容を分担し、保健委員会だよりを発行している。【資料5】
成果と今後の課題
成果
- 上記により、自分自身の生活習慣や心身の健康状態を客観的に振り返させることができた。また、担任等と共有・連携し、組織的な支援体制を整えることができた。
- 定期健康診断結果の正しい見方を知らせることで、自分の健康保持・健康課題の解決に向けて意識づけすることができ、自己管理能力の向上につなげることができた。
- 「いのちの教育」の事前・事後アンケート結果から、性感染症に関する質問項目の平均正答率が 27.8%から764%に向上した。また、分からないと答えた生徒も平均56.3%から13.9%まで減少した。
【資料6】また、3年間同じ外部講師による講座を受けさせることで、生徒の性に関する正しい知識を身に付けさせるとともに、外部講師と養護教諭の連携を強化することができた。 - 生徒保健委員会だよりを発行する過程で、生徒の視点で捉えた本校に必要な課題を見つけ、保健啓発活動を行うことができた。
今後の課題
- 健康診断事後指導での受診率の向上(視力:30.2% 歯科:12.5% 令和5年9月30日現在)
- 心身の健康に対する改善に向けた支援方法の確立
- 性に関する指導における家庭との連携