優秀賞 神栖市立柳川小学校

「咀嚼」に注目した健康教育の実践~養護教諭と栄養教諭の専門性を生かした指導について~

これまでの課題と活動のねらい

課題の把握と設定状況

本校はかねてより市内小学校の中でも肥満傾向の児童の割合が多く、長年の課題となっている。本校は栄養教諭がおり、入学から一貫して食に関する指導を継続して受け、食についての意識は高く、給食残食量は市内でも非常に少ない。しかし、給食を急いでかき込むように食べたり、おかずを全て混ぜて食べたり、箸の持ち方や姿勢が崩れている等、食べ方に課題があるのではないかと考えた。

活動のねらい
  • 養護教諭による歯と口の健康と、栄養教諭による食に関する指導と関連付けた、咀嚼の大切さについて指導を行う。
  • 児童保健委員会活動を中心に、咀嚼についての理解が深まるよう活動を進め、よく噛んで食事をすることの大切さを知り、家庭でも実践する機会を設けることで、よく噛む習慣の定着を目指す。

計画と実践の状況

計画
7月健康診断結果のまとめ、学校保健委員会
9月給食時の姿勢・足ピタチェック、学校歯科医へ咀嚼指導方法について相談、教材手配
10月事前・事後アンケート実施、児童保健委員会活動で咀嚼に関する活動を開始
11月養護教諭、栄養教諭による咀嚼に関する授業
11月~3月給食時の毎週木曜日かみかみタイム、ランチタイムニュース、ルピナス通信
12月冬季休業前身体測定、冬休み健康カレンダー
肥満傾向児童対象の冬休みルピナスカード配布
1~3月身体測定、よくかんだで賞選出
2月握力測定会
養護教諭、栄養教諭による咀嚼に関する授業
実践の状況
  • アンケート 事前、事後 児童の実態を把握(食事中気をつけていることについて等)。
  • かみかみタイム 毎週木曜日 給食の時間に曲「ツバメ」にあわせ1口20回かむ。
  • 咀嚼に関する指導の実施(2学期1時間、3学期0.5時間)
    全学年を対象に養護教諭、栄養教諭が参加し実施した。
  • ルピナス通信(毎月1回発行)、ルピナスカード(冬休み肥満傾向の児童のみ配付)
  • 家庭への啓発 冬休みの宿題として自宅でよく噛む食材を食べる、咀嚼力測定ガムに取り組む
  • 測定(身体測定年3回+希望制長期休み前、咀嚼力調べ、握力測定)
  • よくかんだで賞
    かみかみタイムに、学級担任から見て模範的な食べ方をしている者に対し保健室壁面に名前を掲示・表彰を行った。

成果と今後の課題

成果

アンケートでは、全校の95.7%が「以前よりもよくかんで食べるよう気をつけるようになった。」と答え、意識に大きな変化が見られた。また、児童が曲に合わせて給食をよく噛んで食べている光景が全学級で見られた。なかには、食べながらこめかみに手を当て、動く様子を確かめる児童も出てきた。
また、咀嚼が筋力とも関係することから体力テストでもA+Bの児童の割合が増え、令和4年度 62.0% 令和5年度77.2%と向上が見られた。さらに、肥満傾向の児童が令和4年度19.1%から令和5年度14.7%と前年度より4.5%減少した。また、肥満の児童の中でも、肥満度が上昇した児童も少なかった。

今後の課題

今回は、咀嚼力ガムを使用し、噛む力を調べたことで児童たちの反応が良く、咀嚼について理解が進んだように思う。今後も児童が体感できる教材を工夫し、よく噛む習慣が児童に定着するよう継続して指導していきたい。

 

実践の状況や今後の課題等詳しくはこちらのPDFをご覧ください
神栖市立柳川小学校の取組