優秀賞 筑西市竹島小学校
地域の実態に合わせた防災教育
これまでの課題と活動のねらい
課題の把握と設定状況
本校が位置する筑西市は、県内でも雷や竜巻注意報が多く天候の変化が大きい地区であり、また、交通事後発生件数は県内44市町村の平均より多く発生している。防犯に関しても、本校は門が多いため、人の出入りが把握しづらく、また、公民館と神社が隣接しているため、学校の敷地との境界がわかりにくい。このような児童を取り巻く環境で、学校での避難訓練は学校安全において重要である。現在、学校の避難訓練は、地域の人も訓練に参加し、地域一丸となって取り組んでいるが、今後も児童と教職員の安全を守るために、日常的な研修と訓練を行って行く必要がある。
活動のねらい
本校の現状に合わせた防災訓練を防災の3つの視点で計画し、地域の人や保護者の参加を促し、児童と教職員が日常生活に潜む危険を理解し、災害発生時に安全な行動ができるようにすることを目的とする。
計画と実践の状況
計画
「未然に防止する」視点
- 5月 交通安全教室
「被害の拡大を防ぐ」視点
- 4月 避難訓練(火事)
- 6月 避難訓練(雷・竜巻)
- 9月 運動会(消火訓練)
- 11月 避難訓練(不審者)
- 2月 避難訓練(地震) /ul>
「復旧を図る」視点
- 2月 防災訓練
地域の消防署、消防団、ボランティアの方の協力を得て、年間を通じて訓練できるよう計画している。また、不審者の情報など、緊急時は下校指導の際に児童全員に注意喚起を行っており、全校集会でも下校班の大切さについて指導している。
実践の状況
「未然に防止する」視点
- 5月 交通安全教室
地域の警察署の協力のもと、地域のボランティアの方に見守っていただき、1年生は信号がある交差点を渡る練習を、3年生は道路を自転車で渡る練習を行った。他の学年に対しては、全校集会で登下校時の注意点を説明したり、下校時に生徒指導主事から全校児童にむけて事故が起きやすい場所などについて説明したりと、適宜状況に合わせて指導した。
「被害の拡大を防ぐ」視点
- 4月 避難訓練(火事)
1・2年生の教室から最も近い、家庭科室で火事が発生したことを想定して、タオルなどで口元を覆い、防災ずきんを被って避難する訓練を行った。外で遊んでいる児童は、教室に戻って来ないこと、また、避難する際は家庭科室の近くを通らないことを指導した。 - 6月 避難訓練(雷・竜巻)
訓練前に、校内放送が流れたら、その場で立ち止まって放送を聞いてから行動すること、危険な場所は通らずに避難することを指導した。本番を想定して、訓練の時間を知らせずに実施したが、避難訓練後、けがをした児童の報告はなかった。 - 9月 運動会(消火訓練)
運動会の種目の一つとして、地域の消防団が実際に放水する姿を見学する時間を設けた。消防車が火事現場に到着後、どのように消火するのか、消防団員から説明を受けた。 - 11月 避難訓練(不審者)
地域の方が不審者役を行い、外から教室に入ろうとする際の訓練を行った。不審者が侵入した場合、窓やドアを閉めて机や椅子を移動させて教室への侵入を防ぐ。教室から職員室への校内電話がないため、廊下の電話を使用したり、防犯ブザーを鳴らしたりしながら、不審者の侵入を校内に知らせた。児童は、けがすることなく落ち着いて行動している様子だった。 2月 避難訓練(地震) - 2月 防災訓練
教育委員会、消防防災課、筑西市消防署が連携して、全学年で防災訓練を行った。水消火器や粉末消火器の訓練や煙体験、避難所見学、消防車・救急車の車両見学などを行った。避難所見学では、避難袋に何を入れておくべきか、実際に非常食などに触れて確認し、児童から「家に用意してある」との声が聞かれた。また、防災についてのDVDを使用し、実際に災害が起こったときはどのように行動したらよいかを考える学習を行った。消防車と救急車を見学した際は、児童が仕組みや役割について質問をしている様子が見られた。
学校に公民館が隣接しているため、公民館の館長と連携して訓練を行った。館長や校長が東日本大震災の体験談を児童に伝え、身近に起きる可能性があることを説明した。地震の話を聞くと精神面に負担がかかる児童に対しては、養護教諭が寄り添い、訓練後は保健室で休養した。また、訓練後に保護者と連絡をとり、避難訓練に参加した時の様子を共有した。
「復旧を図る」視点
成果と今後の課題
成果
防災教育を3つの視点から計画し実施した結果、以下のとおりになった。
交通安全教室に関して、1、2年生は毎日5時間授業のため、2学年で下校する日が多い。5月の交通安全教室実施前の1年生は、周りを見ずに3年生の班長の後ろを歩いて下校している様子だったが、実施後は道路を通る車や交差点の信号機を自分で見て安全確認を行っている様子だった。また、3年生は自転車に乗る際はヘルメットを着用しており、交通事故の発生もなく経過している。児童の避難訓練への取り組み方をみると、避難時にケガをした児童はなく、避難後も笑い声や児童同士で話す声もなかった。防災訓練実施後、災害について家族と話し、非常食や懐中電灯を用意したと話す児童が複数人いた。
今後の課題
現在、学校と地域が連携して防災教育を行っているが、保護者の安心感に焦点を置いての調査は未実施である。学校から発信していることが、家庭教育につながっているのか、また、保護者から学校への信頼につながっているのかを、今後調査していき、保護者のニーズを把握して防災教育を行っていきたい。