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いばらきの文化財

県指定 有形文化財 彫刻

木造金剛力士立像 附 像内納入品一括

もくぞうこんごうりきしりゅうぞう つけたり ぞうないのうにゅうひんいっかつ

桜川市

背筋まで筋骨隆々として力強いが、腰高で颯爽とした姿、捻った腰と逆方向になびく裙(くん)の動きのある表現に鎌倉時代の仏師運慶の作風が見られます。その出来栄えは奈良、京都の像と差はなく、運慶の弟子にあたる慶派仏師が制作したものと考えられます。
阿吽一対で造られたものですが、吽形像は捻った方の足に重心を乗せ、力を溜めて立ち、裙が風を受けてなびいて風を感じさせるのに対し、阿形像は腰の据え方、右足の踏み出し方が弱く、十分力が籠っているようには見えません。また、裙の裾は短く、衣文(えもん)も動きが感じられないことから吽形像の方が造形的に優れています。
阿形像の像内に納入された修理銘札によって、永正16年(1519)には楽法寺の前身である延命寺に安置されていたことがわかります。楽法寺の本尊は平安時代前期の観音菩薩立像で、寺院の草創は古く、永正の頃には坂東の観音霊場として信仰を集めていました。この金剛力士像が当初から延命寺仁王門に安置するために造られた可能性が考えられます。
県内の金剛力士像のなかで最古の優品として貴重な作例と言えます。

像内納入品について
①修理銘札(永正16年銘)1枚、②巡礼札(永正10年5月28日ほか)3枚、③妙法蓮華経8巻、④摺仏1枚、⑤小石1個、⑥その他一括
これら像内納入品は、当該地域にとどまらない中世後期東国社会の歴史解明にとって重要な資料と言えます。

木造金剛力士立像 附 像内納入品一括

2軀
寸法 阿形 像高 234.9cm
吽形 像高 238.2cm
指定年月日 令和4年12月26日
所在地 桜川市本木1
管理者 楽法寺
制作時期 鎌倉時代