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いばらきの文化財

県指定 有形文化財 考古資料

堀米A遺跡出土硬玉製大珠

ほっこめええいせきしゅつどこうぎょくせいたいしゅ

東海村

堀米A遺跡は、標高30mほどの那珂台地の北東部、久慈川水系にあり、周辺はかつて真崎浦、細浦、阿漕ヶ浦といった太平洋に面した入江に囲まれた縄文時代中期の環状集落です。
指定された大珠・垂飾は、長さは43~112mm、幅は23~38mm、厚さは7~25mm、重さは13~170.6gとなっています。これら5点はいずれも墓壙と考えられる遺構から見つかっており、副葬品として利用されたであろうことが明らかという意味で、考古学的に極めて重要な事例と言えます。また、常陸大宮市の坪井上遺跡と同様に、この遺跡でも硬玉(ヒスイ)製大珠の未成品や加工屑等はみつかっていないことから、すでに穿孔(せんこう)された完成品の状態で遺跡に搬入されたものと考えられます。この大珠も馬高式の土器の搬入経路と考え併せて、北陸とのダイレクトな結びつきを考えることもでき、貴重な学術的意味を有しています。硬玉の産地は、新潟県の糸魚川水系が有名ですが、この大珠も蛍光X線による分析で、糸魚川水系の硬玉の可能性が指摘されました。
この一群の資料は、縄文時代中期における硬玉製大珠の使用という呪術的な精神世界に結びつく事例であるだけでなく、縄文時代中期の物質移動や交易のネットワークを詳らかにするうえでも、学術的な価値が非常に高いと言えます。

堀米A遺跡出土硬玉製大珠

5点
指定年月日 令和4年12月26日
所在地 那珂郡東海村大字村松768番地38
管理者 東海村
制作時期 縄文時代中期