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いばらきの文化財

県指定 有形文化財 絵画

絹本著色阿弥陀如来来迎図

けんぽんちゃくしょくあみだにょらいらいごうず

笠間市

本件は、継ぎ目の確認できない一枚物の平織の絹に描かれた斜め向きの金色の阿弥陀如来の立像です。檜皮葺(ひわだぶ)きの建物内には須弥壇(しゅみだん)、厨子らしきものが見え、内部には複数の人物が見えます。
阿弥陀如来は右手を胸前で屈臂(くっぴ)し、左手は体側に垂下(すいか)して、それぞれ第一、二指を捻(ねん)じて「来迎印」を結んでいます。来迎雲は見られないものの、本図の成立に来迎図が深く関係していることは疑いなく、来迎図として受容されるものです。
如来の肉身は白色下地に金泥を塗っています。衣は白色地に截金(きりかね)で雷文(らいもん)繋ぎ文、麻葉(あさのは)繋ぎ文、華唐草文(はなからくさもん)が表され、部分的に色隈(いろくま)が施されます。足元は来迎図にもよく見られる踏割蓮華(ふみわりれんげ)ですが来迎雲はありません。頭部からは来迎図にもよく見られる放射光が放たれています。絵画として優れた作品であり芸術的価値が高いといえます。全般的に古様な雰囲気を持ち、白色下地の使用は13世紀の制作を伺わせる一方、上唇と下唇の合わせ目の濃墨線の下部に金泥で暈(ぼか)しを入れたり、館の塀を灰色に塗ったりと14世紀の作例と近い表現も指摘できることから、鎌倉時代13世紀から14世紀の制作と考えられます。今後の研究の進展が望まれる作品です。

絹本著色阿弥陀如来来迎図

1幅
寸法 縦119.2cm、横50.6cm
指定年月日 令和5年12月28日
所在地 笠間市笠間350番地
管理者 月崇寺
制作時期 鎌倉時代