いばらきの文化財

国登録 有形文化財 建造物

川島洋品店土蔵

桜川市

川島家の土蔵は、真壁町の中心部、通称「御陣屋前通り」の北側にあるかわしま洋品店の敷地内にあり、通りからは奥に位置するものの、その景観は北側の交差した通りより望むことができる。
川島家は、江戸時代末期にこの地で商いを始めたと伝えられ、以後、荒物、太物、瀬戸物等を扱って、現在の洋品店に至ったようである。また、明治末期頃は、同じ敷地内で養蚕も行っていたと伝えられ、町の中心部でも養蚕が行われていたことは、真壁町の養蚕業の最盛期を伺わせるものである。
土蔵は北側の通りに妻側を向けて建てられており、切妻・平入り・桟瓦葺、桁行4間、梁間2間の2階建で、1階前面に4尺の下屋庇を張り出している。外部は土蔵造り漆喰仕上げで、東面と北面および南面の腰はささら子下見板で覆われている。特徴的なのは2階の軒の形式で、一般の土蔵のように鉢巻を廻すのではなく、軒を出して、妻側は漆喰塗の母屋を現し、平側は垂木部分を波型に塗り込めている。下屋庇は垂木のまま現しとなっている。
正面入口は片引きの漆喰防火戸があり、2階には正面と南面に小さな角窓が開かれ、内側に漆喰の片開き防火扉が設けられている。内部は板貼りで、1階には棚板、2階には物入れが造られている。
現在は店舗の倉庫として使用されているが、内部の状態が良く、当初はもうひとつ倉庫があったと伝えられていることから、文庫蔵として建てられたと推測される。また、下屋庇は瓦の状態等から、後に改修した跡が見受けられる。
川島家の土蔵は、江戸末期の火災で主屋は焼失したが、土蔵は残ったとされる言い伝えや、その外観の特徴からも、江戸末期頃の建築と考えて妥当であろう。長年、手を入れていないにもかかわらず保存状態は良く、下屋庇を除き本格的な土蔵造りである。

川島洋品店土蔵

登録日 平成14年8月21日
所在地 桜川市真壁町大字真壁302番地
所有者 個人
川島洋品店土蔵
登録番号第08-0070号
構造土蔵造2階建、建築面積37m2
建設年代江戸時代末期