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いばらきの文化財

県指定 有形文化財 歴史資料

紙本墨書 聖護院道興筆天神名号

しほんぼくしょ しょうごいんどうこうひつてんじんみょうごう

桜川市

紙面中央に「南無天満大自在天神」と記した一行紙本墨書で、その花押から聖護院門主(門跡)であった道興が揮毫したものと判断できます。大きさは縦1,00.1cm、横26.0cmです。
道興は関白近衛房嗣の子として生まれ、聖護院門主、熊野三山検校、園城寺大僧正を務め、准三后の待遇を得た僧でした。56歳の頃、文明18年(1486)6月に応仁の乱で荒廃した京都を出立し、10か月にわたる長期の旅に出ました。若狭国から能登国へ北陸道を経て関東に入り、熊野修験の坊に泊まりつつ、陸奥国松島・名取(現、宮城県)までの旅でした。この旅程は、道興が著わした室町時代後期の著名な紀行文である「廻国雑記」(長享元年成立、5巻)に詳しく記されています。これによれば、文明18年旧暦9月24日、常陸国に入っていた道興は筑波山に登頂した際、熊野本山派修験大先達蓮上院主であった山田慶城の坊に止宿したことが記述されています。このことから、この名号は山田慶城宅で道興が9月24日前後にしたためたものと考えられ、山田慶城の子孫宅に今日まで伝わっています。

紙本墨書 聖護院道興筆天神名号

紙本墨書 聖護院道興筆天神名号

1幅
指定年月日 令和3年12月27日
所在地 桜川市真壁町東山田
管理者 個人
制作時期 室町時代