いばらきの文化財
文化財種別
県指定 有形文化財 考古資料
一本松遺跡出土遺物
いっぽんまついせきしゅつどいぶつ
大洗町
本出土遺物は、大洗町一本松遺跡第53号竪穴住居跡の床面直上部から出土した巴形銅器(ともえがたどうき)1点、弥生土器9点、土製紡錘車(ぼうすいしゃ)2点及び砥石(といし)と考えられる軽石製品1点の計13点からなる弥生時代後期の一括資料です。
巴形銅器は、円錐形の胴部から7つの扁平な支脚が螺旋形(らせんけい)に派生し、通常は尖って終わる支脚尖端が本例では外周部が連結しています。直径7.5cm、高さ1.3cmです。
弥生土器9点は、十王台式土器の古い部分に属す土器群です。いずれも口縁部から2~5cmの部位に隆線を貼り付けて押捺(おうなつ)を施し、胴部に付加条縄文(ふかじょうじょうもん)を満たしています。頸部や口縁部に3条の櫛歯施文具(くしはせもんぐ)による直線文・波状文(はじょうもん)・羽状文(うじょうもん)の装飾を施す資料が多い点も特徴的です。
土製紡錘車は、繊維に撚りをかける紡錘車の紡輪部で、無文と周囲に棒状の物で描いた刺突文(しとつもん)が施されたもの各1点です。軽石製品は、前面に使用による擦過痕(さっかこん)がみられ、鉄器や骨角器・木製品などの表面を研磨する砥石と考えられます。
弥生時代後期の巴形銅器は、主に濃尾平野以西の西日本に分布し、東日本の出土例は少ない。しかも、竪穴住居跡の床面直上から弥生土器と共伴して出土した点は、従来出土状況が判然としない例が多いだけに学術的に重要です。弥生土器群も十王台式の古い部分の一括資料で、共伴(きょうはん)した紡錘車と軽石製品も当地域の歴史的特徴を知る上で重要です。
一本松遺跡出土遺物
数 | 13点 |
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指定年月日 | 平成23年11月17日 |
所在地 | 東茨城郡大洗町磯浜町6881番88 |
管理者 | 大洗町 |