いばらきの文化財

県指定 有形文化財 彫刻

木造 狛犬

もくぞう こまいぬ

筑西市

形状 
阿形頭を立て、鬣(たてがみ)を二段に垂れ、太目にあらわし、上部はその先を巻き、下部は束目につくり、前方になびかせ、両肩背中にかかっています。耳を垂れ、瞋目(しんもく)、開口、歯牙および舌をあらわし、頭および胸部を斜め左に向け、右前肢をやや前に出して蹲踞(そんきょ)しています。尾を立てたと思われます(亡失)。
吽形角をつくり(亡失)、耳を立て、口を閉じて上牙のみをあらわし、頭および胸部を斜め右に向け、左前肢をやや前に出すほかは、ほぼ阿形に準じています。

品質構造
各檜材、寄木造、当初は、錆下地漆箔(さびしたじしっぱく)及び彩色(さいしき)仕上げです。現状は、後補の金泥塗(きんでいぬり)および彩色、彫眼で、ともに頭、胸部から両前肢、後頭部にかけて一材彫成です。以下、後肢を含む胴中央部、臀部(でんぶ)を三材縦矧(は)ぎ、胴中央部材のみ左右に割り矧ぎ、内刳り(うちぐり)、後肢両足先、吽形の角(亡失)、各尻尾(亡失)を矧付けています。

保存状態
吽形の角、各尻尾を亡失、一部矧目(はぎめ)にゆるみが生じ後補の鎹(かすがい)で固定し、後補の彩色に浮上りがみられます。吽形の左耳先、阿形の左前肢足先、吽形の右前肢足先の一部などに割損が見られるが全体に保存状態は良く、両像とも台座は補作です。

解説
構造はともにヒノキ材を胴中央辺と後半部で四材縦矧付け、うち中央の一材のみ左右に割矧いで内刳りを施し、それに吽形の角(亡失)と尻尾(亡失)を矧いでいます。当初、錆下地漆箔および彩色仕上げです。現状の金泥塗および彩色は、享保16年(1731)の羽黒神社棟札墨書銘に「金張なき獅子を彩色」とあり、この時の補彩で、矧目を固定する鎹も同時期の後補です。現在の黒漆塗(くろうるしぬり)方座も補作です。
豊富な鬣(たてがみ)が体についておとなしく垂れ、太く短い四肢に比して大振りな頭体部の力強さが強調される造形や、筋肉や関節を際立せる筋肉質の引き締まった肉取りなどの表現には精悍な趣があります。鎌倉時代後半頃の造立と考えられ、県内に遺る鎌倉期の狛犬の作品として貴重です。

木造 狛犬

1躯
寸法 阿形(あぎょう)全高61.7cm 全長(現状)52.3cm
吽形(うんぎょう)全高61.3cm 全長(現状)49.2cm
指定年月日 平成16年11月25日
所在地 筑西市甲37番地
管理者 宗教法人羽黒神社
制作時期 鎌倉時代後期