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いばらきの文化財

県指定 有形文化財 建造物

上羽黒神社本殿及び拝殿

かみはぐろじんじゃほんでんおよびはいでん

筑西市

上羽黒神社は、中世に下館に城を築いた水谷勝氏が文明13年(1481)に出羽国羽黒大権現を勧請し、5社に分祠したのに始まると伝えられています。現代の本殿・拝殿の建立年代については明らかにする資料はありませんが、様式手法からは江戸時代初期とみられ、寛永11年(1634)建立と伝えられる羽黒神社(筑西市甲)本殿・旧拝殿ともよく似ていることから、元和・寛永の頃(1615~44)とみてよいと思われます。近年になって(昭和40年(1965)頃)、本殿・拝殿とも基礎をコンクリート造とし、屋根に鉄板を被せています。
本殿は、間口7尺の一間社流造で、屋根は茅葺(現在は鉄板で覆う)です。羽黒神社本殿と比べると、構造形式は同じで、規模が僅かに小さくなっています。木割が太く、身舎の妻を豕扠首(いのこさす)、庇のつなぎを虹梁とするなど、各部の形式手法は古式で、装飾が少なく、床・縁が高い位置にある点なども、羽黒神社本殿ときわめてよく似ています。ただし、虹梁の渦が木瓜形であることと木鼻や蟇股の形は羽黒神社本殿とは異なります。後世の改修はほとんどなく、きわめて保存がよいといえます。縁周りもほぼ古いようで、縁束の位置が身舎柱筋に一致し、水貫を通さない点などよく古式を示しています。拝殿は、本殿よりやや質が落ちるものの、本殿と同じく構造形式が古式であり、保存もよい状態です。
同時代の本殿と拝殿が揃っていて、きわめて保存がよく、屋根の茅葺も残されているなど、価値が高いといえます。同じ頃の他地方の神社建築と比べると、建立年代の割には古式なところがあって、大工の系統を考える上にも興味深い遺例です。

上羽黒神社本殿及び拝殿

2棟
指定年月日 平成14年1月25日
所在地 筑西市岡芹968-1
管理者 宗教法人羽黒神社
制作時期 江戸時代前期