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いばらきの文化財

県指定 有形文化財 建造物

東漸寺観音堂・山門 2棟(附宮殿1基・棟札1枚)

とうぜんじかんのんどう・さんもん

取手市

東漸寺は長隆山と号する天台宗寺院で、旧寺田村(現取手市本郷)の開発に伴って天正2年(1574)に開創されたと考えられています。寺院は東西に通る道路の北側にあって、南西を向く山門を入ると正面に観音堂が建ち、山門と観音堂の間を左に曲がった先に本堂(阿弥陀堂)が南東を向いて建っています。
観音堂は元和3年(1617)に馬頭観音を安置したことに始まるとされ、寛文7年(1667)に現在の堂が建立されました。昭和26年(1951)には小屋組を改造して茅葺が鉄板葺に変更されましたが、平成18~20年(2006~2008)に行われた解体修理で茅葺形銅板葺に整備されています。間口24尺のやや横に長い三間堂で、平成修理で小屋組・屋根のほか柱間装置や縁周り、向拝などが復旧整備されました。宮殿は間口3.5尺の一間厨子で、随所に彫刻を付け、彩色、漆、金箔を施しており、造立年代は天明元年(1781)と思われます。
山門は元禄3年(1690)に再建されたものであり、茅葺から鉄板葺に変更されていましたが、平成20~22年の解体修理で茅葺に復旧されました。比較的規模の大きな八脚門です。
観音堂は県内の同じような近世の遺例のなかでは建立年代が明らかで比較的古いものです。向拝を唐破風造とし、正面中央間の内側を虹梁大瓶束とするなど、やや変わった手法が見られます。山門は建ちが高くて木柄が細く、江戸時代中期の八脚門の比例をよく示していますが、地垂木は比較的太くて反りがあるなど古式なところをあります。
観音堂に比べると規模が大きいですが、これは寺院の表門であることによります。いずれも建立年代が明らかであって、時代の特徴をよく示しています。地元大工の手に成ったものと見られており、県下の寺院建築の動向を知るうえで貴重な遺例です。

東漸寺観音堂・山門 2棟(附宮殿1基・棟札1枚)

2棟
指定年月日 平成27年1月22日
所在地 取手市本郷3-9-19
管理者 東漸寺