いばらきの文化財

国指定 有形文化財 絵画

重要文化財

紙本著色 拾遺古徳伝

しほんちゃくしょく しゅういことくでん9かん

那珂市

正安3年(1301)12月、親鸞の遺弟である覚如が常陸門徒のために起稿したもので、従来の法然伝に掲出されなかった宗祖親鸞を拾遺して、法然門下としての親鸞を宣揚しようとする主旨に基づいて作られています。
門徒の要請にこたえて幾本か制作され、また転写されましたが、なかでも常福寺本は欠脱のない9巻の完本であり、極めて良好に保存され、貴重なものです。
もと、上宮寺にあったが徳川光圀に所望され、常福寺に寄進されたと伝えられています。
内容は法然の事跡を中心に、詞73段、絵73段の大部にわたり、第6巻以後に親鸞の名も現れ、全編の結末も親鸞の東国発向で終わる巻末奥書により、元亨3年(1323)、釈正空が願主になって作られたことがわかります。
原本成立時期と少し隔たりがありますが、その描写は大和絵の伸び伸びした筆致で表現され、色彩も温雅で精彩に富んだものとなっています。

紙本著色 拾遺古徳伝

9巻
寸法 縦41.5cm、長さ1521~2573cm
指定年月日 明治36年4月15日
所在地 那珂市瓜連1222
管理者 常福寺
制作時期 鎌倉時代末期